××のつくりかた

大学生のような、大学生でないような。 そんな人間が僕のつくりかたを書いています。 僕をつくりたい方は読んでやってください。 基本は反面教師的に読んでください。

映画「ルーム」の感想 2

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ところが監禁部屋からの脱出によって母子の世界は一変する。実は部屋の外には無限ともいえるリアルが広がっていて、ジャックは培ってきた認識やアイデンティティをすべてリセットしなくてはならなくなる。

一方、ジョイが帰還を切望した外の世界は、一度解き放たれると皮肉にも精神的牢獄になってしまう。2人だけで完結していた監禁部屋にいる限り、社会という膨大な関係性の集積から無縁でいられたからだ。失われた7年の重みと他者の存在が次第にジョイを追い詰めていく……。

結果としてジョイもジャックも生きるべき世界をゼロから発見し直さなくてはならない。痛みも喜びも伴うが、未知の物への期待感と新鮮な刺激は一歩ずつでも前に進むことを後押してくれる。

実はこの物語、驚くほどにわれわれが「映画を観る」感覚と似てはいないか。われわれは映画のスクリーンと向き合い、未知の世界を探索することで世界観を押し広げ、時に内面を見つめ直し、やがて自分自身の物語を見出す。その〈発見〉こそが映画を観る大きな悦びだとは言えないだろうか?

幼いジャックはさまざまな障壁にぶつかりながらも、常に世界を五感で感じ、吸収することをやめない。その瑞々しさと観客の感覚とがピッタリ重なった瞬間、魂に触れる小さな奇跡を起こす。「ルーム」とはそんな映画だと思っている。 

 

 世界だけを見ていてもダメで、自分だけを見ていてもダメ。

外だけを見ているだけでもダメで、内だけを見ているだけでもダメ。